デジタルサイネージのパネル寿命について 

デジタルサイネージのパネル寿命について

デジタルサイネージの基盤、プレーヤー、配線は比較的故障しやすいものの、交換修理の効く部材です。一方ディスプレイが故障・破損、または寿命を迎えた場合は、本体ごと買い換えた方が安上がりです。実質的に、ディスプレイパネルの寿命=デジタルサイネージの寿命と言えます。当記事では液晶型ディスプレイパネルの寿命・故障について解説します。
ブラウン管の焼き付き

これはブラウン管の焼き付き現象。ディスプレイ内側が文字通り焼けているため元に戻りません。では液晶ディスプレイは?


■ディスプレイの寿命が近づくにつれ暗くなる

液晶ディスプレイの寿命とは、パネルのバックライトが経年劣化により暗くなり、実用的な輝度を保てなくなった状態を言います。メーカーの設定するディスプレイ寿命に到達した頃には、明るさが半分程度に落ちていると考えておきましょう。屋内や夜間屋外での使用であれば多少輝度が下がっても実用に差し支えありませんが、日中屋外の運用では輝度低下=視認性の喪失となります。
ディスプレイの耐久性は、パネル自体の品質が関係します。同じ高輝度を標榜するデジタルサイネージでも、元々低輝度を想定したパネルのバックライト出力を上げて高輝度に仕立てたものと、最初から高輝度設計のパネルを使ったものがあります。後者の方が長期間輝度を保ちますが、販売価格も異なります。デジタルサイネージの価格には相応の理由があるのです。
例えば弊社扱いのLK46OTKGはディスプレイパネル寿命約50,000時間ですが、1日12時間の稼働で4,166日(11年5ヶ月)、輝度の低下を考慮して寿命の半分としても2,083日(5年8ヶ月)使える計算です。
 


■デジタルサイネージは焼き付きしない

デジタルサイネージの液晶ディスプレイは構造上、ブラウン管で言う「焼き付き」はありません。長時間使うとディスプレイ表面に映像の跡が残りますが、これは「ゴーストイメージ」と呼ばれる回復可能な現象です。ゴーストイメージの原因はディスプレイの帯電の偏りであり、電源を落としたり別の色の映像を表示することで回復します。ゴーストイメージという呼び方は一般的ではなく、画面焼けと呼ばれることが多いようです。この呼び方がブラウン管における焼き付きと混同される原因かもしれません。
一方、ブラウン管(CRT)の焼き付きは、ディスプレイの裏側に塗布されている蛍光塗料が電磁波により「焼ける」回復不能の現象です。これも画面焼けと呼ばれます。ちなみに、ブラウン管ディスプレイの画面焼けを防ぐ目的として当時はスクリーンセーバーがありましたが、これは液晶ディスプレイにとっては本来無用の機能です。同じくデジタルサイネージにスクリーンセーバー的な機能を用意する必要もありません。
液晶画面の「ゴーストイメージ」とブラウン管の「焼き付き」は異なる現象ですが、似たような見た目になるため、混同される傾向があります。
 
サイネージコンテンツ

デジタルサイネージのコンテンツは常時情報を表示する箇所があり、長時間の運用でゴーストイメージは発生します。しかし電源を落として放電すると跡も消えます。


 
スクリーンセーバー

Windows7や10等、液晶画面の時代になってもスクリーンセーバー機能は残っています。現代では画面の物理的な保護ではなく、情報の保護が目的です。


 

■デジタルサイネージのブラックアウト現象とは

 
デジタルサイネージのブラックアウト

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ディスプレイの表面温度が上昇して耐熱温度を超えるとブラックアウト現象が発生します。これは高熱によりディスプレイの表示機能が一時的に失われ、その部分が暗く(黒く)なる現象です。熱による表示機能の麻痺と表現してもよいでしょう。ブラックアウト現象は特に屋内で冷却機構の無いデジタルサイネージが、直射日光に晒されると発生しやすくなります。屋外用のデジタルサイネージは冷却機構を備えますが、西日が当たる等して機器の許容範囲を超えれば、ブラックアウトが発生します。
ブラックアウト現象が起きた直後は、まだ回復の見込みがあります。直ちに電源を切り、デジタルサイネージを冷暗所に移動してディスプレイ温度を下げる必要があります。ディスプレイが十分に冷めれば再び機能を取り戻しますが、ブラックアウトの状態(耐熱温度を越えた状態)で加熱が続くと、やがてディスプレイが変質して、不可逆的な故障となります。デジタルサイネージの性能やメーカーの保証体制によりますが、ブラックアウトよるディスプレイ故障はメーカー保証対象外となる場合が殆どです。
弊社扱いのデジタルサイネージLIKAシリーズ(LKOTKGシリーズ)の場合、ディスプレイの耐熱温度は約80℃であり、筐体内の空気循環により表面温度を45℃程度に抑えて稼働します(ブラックアウト防止機能)。仮に空調用のファンが故障すれば、耐熱温度80℃であっても直射日光等によりブラックアウトが発生する可能性があります。弊社問い合わせの案件では、自治体のデジタルサイネージ導入にあたり、要求仕様としてディスプレイの耐熱温度「100℃」を求められたこともあります。ディスプレイ自体も動作により発熱しますから、太陽熱に晒され冷却機構がない状態では、そのレベルまでディスプレイ温度が上昇する可能性があるのです。
屋外用のデジタルサイネージを導入する時は、ブラックアウトに対する耐性や故障時の保証についても確認しておきたいところです。

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